音が出ないとき、真っ先に疑うべきはドライバではありません。実際に多いのは「出力先が別の機器になっている」という設定の問題です。モニターを繋いだ、イヤホンを挿した、といった操作のあとに起きやすくなります。
この記事では、確認する順番を決めて、上から潰していく形で解説します。ドライバの入れ直しは最後です。
確認する順番
所要時間が短く、原因である可能性が高い順に並べています。
| 順 | 確認 | 所要 | よくある度合い |
|---|---|---|---|
| 1 | 音量とミュート | 10秒 | 非常に高い |
| 2 | 出力先のデバイス | 30秒 | 非常に高い |
| 3 | アプリごとの音量 | 30秒 | 高い |
| 4 | ケーブルと端子 | 1分 | 高い |
| 5 | オーディオのトラブルシューティング | 3分 | 中 |
| 6 | ドライバ | 5分 | 低い |
| 7 | BIOS/UEFIでの無効化 | 10分 | まれ |
いきなりドライバを削除して入れ直すと、直らなかったときに元の状態へ戻すのが難しくなります。上から順に確認してください。
音量・ミュートと出力先
タスクバー右下のスピーカーアイコンをクリックします。ここで見るのは2か所です。
| 見る場所 | 正常な状態 | よくある状態 |
|---|---|---|
| 音量のスライダー | 0より大きい | 0、またはミュート(スピーカーに×印) |
| スライダー上部の機器名 | 鳴らしたい機器の名前 | 別の機器(モニター名、Bluetooth機器名など) |
機器名の部分をクリックすると、接続中の出力先が一覧で出ます。HDMIでモニターを繋いでいると、音声もモニター側へ流れるようになり、モニターにスピーカーがなければ無音になります。ここでPC本体のスピーカーやイヤホンを選び直してください。
一覧に出したい機器が表示されない場合
- 設定 → システム → サウンド →「サウンドの詳細設定」を開く
- 「再生」タブで空白部分を右クリックし、「無効なデバイスの表示」にチェック
- 目的の機器が灰色で出てきたら右クリック →「有効」
- 同じ機器を右クリック →「既定のデバイスとして設定」
過去に「使用しない」と設定した機器は一覧から消えます。ここで戻せます。
特定のアプリだけ音が出ない場合
PC全体では鳴るのに、ブラウザやゲームだけ無音というケースです。Windowsはアプリごとに音量と出力先を記憶しています。
- 設定 → システム → サウンド → 一番下の「音量ミキサー」
- 該当アプリの音量が0になっていないか確認する
- 同じ画面でアプリごとの「出力デバイス」を確認し、必要なら変更する
| アプリ | 固有の音量設定がある場所 |
|---|---|
| ブラウザ | タブのスピーカーアイコン(タブ単位でミュートできる) |
| 動画サイト | プレーヤー内の音量。サイトごとに記憶される |
| ゲーム | ゲーム内のオーディオ設定。出力先を個別指定できるものがある |
| ビデオ会議 | アプリ内のデバイス設定。マイクとスピーカーを個別に選ぶ |
ブラウザのタブ単位ミュートは見落としやすい設定です。タブに音量アイコンが出ていたら、それをクリックすれば解除できます。
ケーブル・端子まわり
| 確認 | やり方 | 判断 |
|---|---|---|
| 挿し込みが浅い | 奥まで押し込む。カチッと感触があるまで | 半挿しだと認識だけされて音が出ないことがある |
| 端子を間違えている | ヘッドホン端子(緑)とマイク端子(ピンク)を確認 | 一体型の4極端子の機種もある |
| ケーブルの断線 | 別のイヤホンで試す | スマホに挿して鳴るか確認するのが早い |
| 前面端子が繋がっていない | 背面の端子で試す | デスクトップの前面端子は内部配線が外れていることがある |
| HDMI/DisplayPort | ケーブルを挿し直す | 映像は出るが音声が来ない場合は出力先設定を確認 |
他の機器で鳴るかを試すのが、最も確実な切り分けです。スマホで同じイヤホンが鳴るならPC側、鳴らないならイヤホン側と即座に確定します。
トラブルシューティングとドライバ
ここまでで直らない場合に進みます。まずWindows標準の診断を使います。
- タスクバーのスピーカーアイコンを右クリック →「サウンドの問題のトラブルシューティング」
- 案内に従って進める
- 直らなければ、スタートボタン右クリック →「デバイス マネージャー」
- 「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」を展開
- 該当デバイスを右クリック →「ドライバーの更新」
| デバイスマネージャーの表示 | 意味 | 対処 |
|---|---|---|
| 正常に表示されている | ドライバは入っている | 設定側を再確認 |
| 下向き矢印 | 無効化されている | 右クリック →「デバイスを有効にする」 |
| ビックリマーク | ドライバに問題がある | 更新、または削除して再起動 |
| そもそも項目がない | 認識されていない | 「表示」→「非表示のデバイスの表示」で確認 |
| 「不明なデバイス」がある | ドライバ未導入 | メーカーサイトから入手 |
ドライバの更新で悪化した場合は、同じプロパティ画面の「ドライバー」タブにある「ドライバーを元に戻す」で直前の状態へ戻せます。押せない場合は、以前のドライバが保存されていません。
よくある質問
Q. イヤホンを挿すと本体スピーカーが鳴らなくなります。これは正常ですか。
正常な動作です。イヤホンを挿すと出力先が自動的に切り替わります。抜いても本体から鳴らない場合は、出力先が戻っていないので手動で選び直してください。
Q. 音は出ますが、音量が最大でも小さいです。
アプリ側の音量、音量ミキサー、機器側のボリュームの3か所が掛け算になります。すべて確認してください。加えて、サウンドの詳細設定で「ラウドネス等化」を有効にすると小さい音が持ち上がります。
Q. 更新プログラムのあとから音が出なくなりました。
ドライバが入れ替わった可能性が高いです。デバイスマネージャーの「ドライバーを元に戻す」を先に試してください。
Q. ノイズが混じります。
ケーブルの接触、電源由来のノイズ、サンプリング周波数の不一致が主な原因です。サウンドの詳細設定でデバイスのプロパティを開き、既定の形式を変えると改善することがあります。
Q. マイクだけ使えません。
設定 → プライバシーとセキュリティ →「マイク」で、アプリからのアクセスが許可されているか確認してください。物理的なミュートスイッチがある機種もあります。
特定のアプリが音を占有している場合
Windowsには、アプリがオーディオ機器を「排他的に」使う設定があります。これが有効だと、そのアプリの再生中は他から音が出ません。
- 設定 → システム → サウンド →「サウンドの詳細設定」
- 「再生」タブで該当機器を右クリック →「プロパティ」
- 「詳細」タブを開く
- 「アプリケーションによりこのデバイスを排他的に制御できるようにする」のチェックを外す
| 設定 | 有効時 | 無効時 |
|---|---|---|
| 排他制御 | 音質を優先。他の音が出ない | 複数のアプリの音が混ざる |
| 排他モードのアプリを優先 | 排他アプリが優先される | — |
| 既定の形式 | ビット深度とサンプリング周波数を固定 | 機器に合わせる |
音楽再生ソフトや配信ソフトを使っていると、この設定が有効になっていることがあります。ブラウザの音だけ出ない、という症状の原因になります。
既定の形式が合っていない場合
同じ「詳細」タブの「既定の形式」で、機器が対応していない値が選ばれていると音が出ません。「16 ビット、48000 Hz(DVD の音質)」あたりに設定すると、ほとんどの機器で鳴ります。「テスト」ボタンで確認できます。
音は出るが不自然な場合
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| こもって聞こえる | 音の効果(拡張機能) | 詳細設定の「拡張」タブですべて無効化 |
| 片方からしか出ない | バランス設定、または断線 | プロパティの「レベル」→「バランス」を確認 |
| 音が遅れる | Bluetoothの遅延 | 有線接続で確認する |
| ブツブツ途切れる | CPU負荷、ドライバ | タスクマネージャーで負荷を確認 |
| 音量が勝手に変わる | 通信時の自動調整 | サウンド設定の「通信」タブで「何もしない」に |
| キーンという音がする | マイクとスピーカーの回り込み | ヘッドセットを使う |
「通信アクティビティ時に音量を下げる」設定は、会議アプリを使うと他の音が小さくなる原因になります。コントロールパネル →「サウンド」→「通信」タブで「何もしない」を選ぶと止まります。
ブツブツ途切れる症状がCPU負荷由来の場合は、メモリ不足の判定基準とPCが熱いときの対処が切り分けに使えます。
HDMI・モニター経由の音で起きること
HDMIやDisplayPortは映像と音声を1本で送ります。この仕組みが、音が出ない原因になることがあります。
| 状況 | 何が起きているか | 対処 |
|---|---|---|
| モニターを繋いだ途端に無音 | 出力先がモニターへ自動で切り替わった | 出力先をPC本体に戻す |
| モニターにスピーカーがない | 音の行き先がなくなる | 出力先を変更する |
| モニターの音量が0 | モニター側でミュートされている | モニター本体のメニューで音量を上げる |
| DisplayPortで音が出ない | 機器やケーブルが音声非対応 | HDMIで試す |
| モニターの電源を切ると出力先が消える | デバイスが切断扱いになる | PC本体を既定のデバイスに設定 |
| テレビに繋ぐと遅れる | テレビ側の映像処理による遅延 | テレビのゲームモードを有効化 |
「モニターを繋いだあとから音が出なくなった」は、故障ではなく仕様どおりの動作です。Windowsは新しく接続された音声出力先を自動的に既定にすることがあります。PC本体のスピーカーやイヤホンを既定のデバイスに設定し直せば解決します。
モニターの接続そのものに問題がある場合は外部モニターが映らないときの対処を参照してください。
この症状と間違えやすいもの
似た見え方をするが原因がまったく違う症状です。当てはまるなら、そちらの記事へ進んでください。
| 見え方 | 実際の原因 | 読む記事 |
|---|---|---|
| Bluetoothイヤホンが繋がらない | 無線側の問題 | Bluetoothが接続できないときの対処 |
| 会議アプリでだけ声が届かない | アクセス許可の設定 | マイク・カメラが使えないときの対処 |
| モニターを繋いでから無音 | 出力先の自動切り替え | 外部モニターが映らないときの対処 |
| 音がブツブツ途切れる | CPU負荷または発熱 | PCが熱い・ファンがうるさい |
症状の分類を間違えると、正しい対処をしても直りません。迷った場合はPCトラブル症状別ガイドの一覧から選び直してください。
この記事で使える無料ツール
- ネットワーク診断 — 原因が回線側かどうかを切り分ける
- データ量・通信速度の変換 — 容量や転送時間を見積もる
参照した一次情報
- Microsoft Learn(デバイスとドライバの管理に関する公式ドキュメント)
- Microsoft サポート(Windows)(サウンドおよびデバイス設定の手順)
※ 掲載内容は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。最新の情報は必ず各公式ページでご確認ください。
▶ 症状が違う場合:PCトラブル症状別ガイド — いま起きている症状から、該当する記事に直接たどり着けます
まとめ
音が出ない原因の大半は、出力先が別の機器になっていることです。HDMIでモニターを繋いだ、Bluetooth機器が接続されたままになっている、といった状況で起こります。まずタスクバーのスピーカーアイコンから出力先を確認してください。
そこで解決しなければ、アプリごとの音量、ケーブルと端子、標準のトラブルシューティング、ドライバの順に進みます。他の機器で同じイヤホンが鳴るかを試すだけで、PC側か機器側かは数分で確定します。
