電源ボタンを押すとファンは回るし、ランプも点く。それなのに画面が真っ暗のまま。この状態は「まったく起動していない」わけではなく、どこかの段階で止まっています。どこまで進んでいるかが分かれば、対処はかなり絞れます。
この記事では、進行段階ごとの切り分けと、リスクの低い順に並べた対処手順を解説します。データを失わないための注意点も明記します。
どこまで進んでいるかを見る
| 見えているもの | 止まっている段階 | 疑う原因 |
|---|---|---|
| 完全に真っ暗。ファンも回らない | 通電していない | 電源ケーブル、電源ユニット、バッテリー |
| ファンは回るが画面は真っ暗 | 起動の最初期 | メモリ、映像出力、周辺機器 |
| メーカーロゴで止まる | BIOS/UEFIの段階 | ストレージの認識、BIOS設定、USB機器 |
| くるくる回る点で止まる | Windowsの読み込み | システムファイル、ドライバ、更新の失敗 |
| 青い画面が出る | Windowsは起動しかけている | 停止コードを確認 |
| 「ブート デバイスが見つかりません」 | 起動ドライブを読めない | ストレージの接続、起動順序 |
| サインイン画面までは出る | 起動は完了している | 別の問題 |
ファンが回る=正常、ではありません。電源が入っただけで、その先の処理に進めていない状態もあります。逆にファンも回らないなら、原因は電源系に限定できます。
まったく通電しない場合
| 確認 | やり方 | 分かること |
|---|---|---|
| 電源ケーブル | 両端を挿し直す。別のコンセントで試す | 接触不良、コンセント側の問題 |
| 電源タップ | 壁のコンセントに直結する | タップの故障 |
| ACアダプタのランプ | アダプタ本体のランプが点くか | アダプタの故障 |
| バッテリー(ノート) | 外せる機種なら外してACのみで起動 | バッテリーの故障 |
| 電源ユニットのスイッチ(デスクトップ) | 背面のスイッチがオンか | 単純な切り忘れ |
放電(デスクトップ・ノート共通)
内部に電気が残っていると、起動を妨げることがあります。次の手順で放電します。
- 電源を切り、電源ケーブルを抜く
- ノートで着脱可能ならバッテリーも外す
- 電源ボタンを30秒間押し続ける(通電していない状態で)
- 5分待つ
- ケーブルを戻して起動する
これだけで直ることは珍しくありません。リスクがなく所要も短いので、真っ先に試す価値があります。
ファンは回るが画面が出ない場合
順に試す
| 順 | 対処 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 周辺機器をすべて外す | USB機器が起動を妨げることがある |
| 2 | モニターの入力切替を確認 | 別の入力を選んでいるだけの場合がある |
| 3 | 別のケーブル・別の端子で試す | ケーブルや端子の故障を除外 |
| 4 | 放電する | 内部に残った電気を抜く |
| 5 | メモリを挿し直す(デスクトップ) | 接触不良は起動不能の代表的原因 |
| 6 | メモリを1枚だけにする | 不良メモリの特定 |
| 7 | ボタン電池を確認(デスクトップ) | BIOS設定が保持できていない可能性 |
メモリの挿し直し
移動、清掃、増設のあとから起動しなくなった場合、接触不良である可能性が高くなります。デスクトップなら、電源を抜いて放電したうえで、両端のツメを開いてメモリを抜き、金属端子部分に触れないよう持って、カチッと音がするまでまっすぐ押し込みます。
内部を開ける作業は、静電気に注意してください。作業前に金属部分に触れて放電し、電源ケーブルは必ず抜いてください。ノートPCの分解は保証対象外になる機種があります。自信がなければ、この段階でメーカーや修理業者に相談する判断も妥当です。
ビープ音とランプ
デスクトップの一部機種では、起動時のビープ音の回数や、マザーボードのランプの点灯パターンでエラー箇所を示します。「短く3回」「長く1回・短く2回」といった鳴り方は、マニュアルに対応表が載っています。これが分かれば原因が一発で特定できるので、確認する価値があります。
ロゴやくるくるで止まる場合
ここまで進んでいれば、電源やメモリではなく、ストレージかWindows側の問題です。
まずセーフモードを試す
通常起動が2回連続で失敗すると、3回目に自動で回復環境が立ち上がります。手動で入るには次の手順です。
- 電源を入れ、メーカーロゴが出たら電源ボタンを長押しして強制終了する
- これを2回繰り返す
- 3回目に「自動修復を準備しています」と表示される
- 「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」へ進む
| 回復環境のメニュー | 何をするか | リスク |
|---|---|---|
| スタートアップ修復 | 起動に必要な部分を自動で修復 | 低 |
| システムの復元 | 以前の状態に戻す | 中(復元ポイントが必要) |
| 更新プログラムのアンインストール | 直近の更新を取り消す | 低 |
| コマンドプロンプト | 修復コマンドを手動実行 | 中 |
| UEFIファームウェアの設定 | BIOS設定を確認 | 中 |
| このPCを初期状態に戻す | 再インストール | 高 |
強制終了を繰り返す操作は、それ自体がファイル破損のリスクを持ちます。ただし起動しない状態では他に手段が少ないため、必要な範囲で使ってください。
ブルースクリーンが出ている場合は、停止コードから原因を絞れます。詳しくはブルースクリーンが出たときの対処を参照してください。
データを取り出したい場合
Windowsが起動しなくても、ストレージが生きていればデータは取り出せます。
| 方法 | 必要なもの | 難易度 |
|---|---|---|
| 回復環境のコマンドプロンプト | なし | 中。コピー先の外付けが必要 |
| 別のPCに繋ぐ | 取り出し工具、変換ケース | 中。分解が必要 |
| USB起動の環境から取り出す | USBメモリ、別のPC | 高 |
| 修理業者に依頼 | 費用 | 低(自分では作業しない) |
データが最優先なら、復旧を試みる前にその旨を決めてください。初期化や再インストールを実行すると、取り出せる見込みが大きく下がります。「動くようにする」と「データを守る」は、手順が競合することがあります。
起動しなくなる事態に備えるなら、回復ドライブの作成と定期的なバックアップが有効です。手順はWindowsのバックアップ完全ガイドにまとめています。
よくある質問
Q. 「ブート デバイスが見つかりません」と出ます。
起動ドライブが認識されていません。BIOS/UEFIに入り、ストレージが一覧に出ているかを確認してください。出ていなければ接続不良か故障、出ているなら起動順序の設定を確認します。
Q. 更新プログラムの適用中に電源が切れてから起動しません。
回復環境の「更新プログラムのアンインストール」を試してください。それでも直らなければ「スタートアップ修復」です。
Q. 画面は真っ暗ですが、音は鳴ります。
Windowsは起動しています。映像出力側の問題なので、外部モニターが映らないときの対処の切り分けが使えます。
Q. 電源ボタンを押しても何も起きません。
まず放電を試してください。それでも変わらないなら、電源ケーブル、ACアダプタ、コンセントを順に別のもので確認します。
Q. 修理に出すべき目安はありますか。
放電と周辺機器の取り外しで変わらず、内部を開ける必要がある段階に来たら、自信がなければ依頼するのが妥当です。とくに保証期間内であれば、自分で開ける前に相談してください。
BIOS/UEFIで確認すること
起動ドライブが認識されていない場合、BIOS/UEFIの画面で確認できます。電源投入直後に F2、Delete、F10、Esc のいずれかを連打すると入れます(機種によります)。
| 確認項目 | 正常な状態 | 異常な場合 |
|---|---|---|
| ストレージの認識 | SSD/HDDの型番が表示される | 表示がなければ接続不良か故障 |
| Boot Order(起動順序) | Windowsの入ったドライブが最優先 | USB機器が先だと起動できないことがある |
| SATA動作モード | AHCI(変更しない) | 変更するとWindowsが起動しなくなる |
| 日付と時刻 | 現在時刻 | 大きくずれていればボタン電池切れ |
| メモリ容量 | 搭載量と一致 | 少なければ認識されていないメモリがある |
| CPU温度 | 起動直後で40〜60℃ | 高すぎれば冷却の問題 |
日付が2000年などに戻っている場合、マザーボードのボタン電池が切れています。デスクトップなら数百円のCR2032で交換でき、起動不良が直ることがあります。
BIOS/UEFIの設定は、間違えると起動しなくなります。とくにSATA動作モードは絶対に変更しないでください。分からない項目は触らず、「変更を保存せずに終了」で抜けてください。
回復ドライブを事前に作っておく
起動しなくなってからでは作れません。動いているうちに作っておく備えです。
- 16GB以上のUSBメモリを用意する(中身は消えます)
- スタートメニューで「回復ドライブ」を検索して起動
- 「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします」にチェック
- USBメモリを選んで作成(30分〜1時間程度)
- 作成後はラベルを貼って保管する
| 備え | 作成の手間 | いつ効くか |
|---|---|---|
| 回復ドライブ | 1時間 | Windowsが起動しなくなったとき |
| システムイメージ | 1〜2時間 | 丸ごと元の状態に戻したいとき |
| ファイルのバックアップ | 設定すれば自動 | データを失いたくないとき |
| インストールメディア | 30分 | 再インストールが必要なとき |
| 復元ポイント | 自動 | 設定変更で不調になったとき |
この中で最優先はファイルのバックアップです。PCは買い直せますが、写真や書類は戻りません。回復ドライブは「PCを直す」ための備えで、データを守るものではないという点を混同しないでください。
具体的な手順はWindowsのバックアップ完全ガイドにまとめています。ストレージの消耗度を年に一度確認しておくと、交換時期を予測できます(SSDの寿命はどれくらいか)。
この症状と間違えやすいもの
似た見え方をするが原因がまったく違う症状です。当てはまるなら、そちらの記事へ進んでください。
| 見え方 | 実際の原因 | 読む記事 |
|---|---|---|
| 起動はするが極端に遅い | ストレージや常駐アプリ | 起動が遅いときの切り分け |
| 起動後に青い画面が出る | 停止コードから原因を絞る | ブルースクリーンが出たときの対処 |
| 本体は動くが画面だけ出ない | 映像出力の問題 | 外部モニターが映らないときの対処 |
| 更新の途中で止まっている | 適用中の正常な動作 | Windows Updateが遅い・終わらない |
| 操作中に固まる | フリーズ時の対処 | PCがフリーズしたときの対処法 |
症状の分類を間違えると、正しい対処をしても直りません。迷った場合はPCトラブル症状別ガイドの一覧から選び直してください。
この記事で使える無料ツール
- ハッシュ値生成 — 取り出したファイルが壊れていないか照合する
- データ量・通信速度の変換 — 復旧メディアや退避データの容量を見積もる
参照した一次情報
- Microsoft Learn(起動の修復と回復環境に関する公式ドキュメント)
- Microsoft サポート(Windows)(回復ドライブの作成とスタートアップ修復の手順)
※ 掲載内容は2026年8月時点の公表情報にもとづきます。最新の情報は必ず各公式ページでご確認ください。
▶ 症状が違う場合:PCトラブル症状別ガイド — いま起きている症状から、該当する記事に直接たどり着けます
まとめ
電源は入るのに画面が出ないときは、「どこまで進んでいるか」を先に見てください。ファンも回らないなら電源系、ファンは回るが真っ暗ならメモリと映像出力、ロゴやくるくるで止まるならストレージかWindows側です。
リスクのない対処から順に、周辺機器を外す、放電する、モニターの入力を確認する、メモリを挿し直す。ここまでで多くは解決します。データが最優先なら、初期化に進む前にその方針を決めてください。「動かす」と「データを守る」は手順が競合します。
