Wi-Fiが遅い原因を3分で特定|5か所の切り分けと対処6手順

公開

/ 最終更新

Wi-Fiが遅い原因を3分で特定|5か所の切り分けと対処6手順

「Wi-Fiが遅い」の原因は、端末・電波・ルーター・回線・相手側の5か所のどこかにあります。ここを絞らずに設定をいじっても、たまたま当たらないかぎり直りません。

この記事では、まず3分の測定で原因を1か所に絞り、そのうえで場所ごとの対処に進みます。Windowsに標準で入っているコマンドで電波状況を数値で確認する方法、チャンネルの混雑を自分で調べる手順まで載せました。

この記事でわかること

  • 速度・応答速度・ゆらぎのどれを見れば原因がわかるか
  • 原因が5か所のどこにあるかを絞り込む手順
  • 電波状況をコマンドで数値化する方法(Windows標準)
  • 2.4GHz・5GHz・6GHzの使い分けと、法律上の制限
  • 効果があるのに知られていない対処と、意味のない対処
Wi-Fiが遅いときに原因を切り分ける手順の図WIFI SPEEDSTEP 1速度を測る有線と無線の両方時間帯を変えて所要 5分STEP 2切り分ける回線か無線かを判定別の端末でも測る所要 10分STEP 3対処する電波とチャンネル回線方式の見直し所要 30分「Wi-Fiが遅い」の多くは、Wi-Fiではなく回線側の問題です。まず有線で測ってください。
Wi-Fiが遅いときの進め方。有線と無線の両方で速度を測り、原因のある区間を切り分けてから対処する。

最初の3分:速度ではなく「応答速度とゆらぎ」を測る

速度測定サイトで出る「下り○Mbps」だけを見ても、原因はわかりません。速度が出ているのに遅いという状況が普通に起こるからです。

見るべきは次の3つです。

指標意味良好問題あり
下り速度一度に運べる量用途による(後述)10Mbps未満
応答速度(RTT)往復にかかる時間30ms以下100ms超
ゆらぎ(ジッター)応答時間のばらつき30ms以下90ms超

Webページの表示、通話、ゲームの快適さを決めるのは応答速度とゆらぎです。速度は動画やダウンロードでしか効きません。

この3つはネット回線かんたん診断でブラウザ内から実測できます。測ったあと、いくつかの質問に答えると原因が5か所のどこにあるかまで切り分けられます。

用途別に必要な速度の目安

用途必要な下り速度
メール・SNS・Web閲覧1〜5 Mbps
ビデオ会議(1対1)3〜5 Mbps
フルHD動画のストリーミング5〜10 Mbps
4K動画のストリーミング25 Mbps 前後
オンラインゲーム30 Mbpsで十分。それより応答速度20ms以下が重要

一般的な用途では100Mbps出ていれば足ります。「1Gbpsにしたのに体感が変わらない」という声が多いのは、もともと上限に達していなかったためです。データ量と速度の関係はデータ量・通信速度の変換ツールで確認できます。

原因を5か所のどこかに絞る

次の4つの質問に答えるだけで、原因はほぼ1か所に決まります。

質問はいいいえ
他の端末でも遅い?ルーター以降を疑う(次へ)その端末の問題。再起動、ドライバ更新
有線でつないでも遅い?ルーターか回線(次へ)Wi-Fiの電波が原因電波の改善へ
夜だけ遅い?回線の混雑接続方式へ常に遅い(次へ)
特定のサイトだけ遅い?相手側の問題。こちらでは直せない回線かルーターの故障

この切り分けを飛ばして「ルーターの設定を最適化」しても、原因が端末側や相手側なら1ミリも改善しません。順番に答えてください。

電波が原因のとき:状況を数値で確認する

「電波が弱い気がする」を、感覚ではなく数字にします。Windowsなら追加ソフトなしで確認できます。コマンドプロンプトかターミナルで実行してください。

netsh wlan show interfaces

出力のうち、見るのは4行だけです。

項目意味判断
シグナル電波の強さ(%)70%以上なら良好。40%未満は場所かルーターの問題
受信速度/送信速度実際にリンクしている速度規格上の最大の半分以下なら電波が弱い
無線の種類802.11ax など、接続中の規格ax(Wi-Fi 6)以降か確認
チャネル使用中のチャンネル番号1〜13なら2.4GHz、36以上なら5GHz

チャネルが1〜13だった場合、2.4GHz帯につながっています。5GHz帯に切り替えるだけで数倍速くなることがよくあります。

近所のWi-Fiと混んでいないかを調べる

集合住宅では、同じチャンネルを何十台も使っていることがあります。次のコマンドで周囲のアクセスポイントとチャンネルが一覧できます。

netsh wlan show networks mode=bssid

出力の「チャネル」を数えて、自分のチャンネルに何台重なっているかを見ます。2.4GHz帯で互いに干渉しない組み合わせは1・6・11の3つだけなので、実質3チャンネルを近隣全員で分け合っている状態です。混んでいたら、ルーターの管理画面でチャンネルを1・6・11のうち空いているものに固定します。

2.4GHz・5GHz・6GHzの使い分け

帯域速度距離・障害物向いている用途
2.4GHz遅い遠くまで届き、壁に強い離れた部屋、IoT機器、スマート家電
5GHz速い壁に弱く、距離で急激に落ちる同じ部屋・隣室での動画・ゲーム・PC
6GHz最も速い5GHzよりさらに障害物に弱いルーターと同室での高速通信

2.4GHzは電子レンジと同じ周波数帯です。レンジを回すと途切れる場合、原因はこれです。Bluetooth機器やワイヤレスマウスも同じ帯域を使います。

なお5GHz帯の一部(W53・W56)は気象レーダーなどと共用のため、レーダーを検知すると自動的にチャンネルを変えて一時的に通信が切れます。空港や気象レーダーの近くで「5GHzだけ時々切れる」場合はこれが原因で、故障ではありません。

また、5GHz帯と6GHz帯には屋外での使用に法律上の制限があります。庭やベランダで使う目的で機器を置く場合は、総務省の無線LANの屋外利用についてを確認してください。

ルーターの置き場所で変わる

電波は球状に広がるため、置き場所の効果は想像以上です。

  • 床に直置きしない:床から1〜2mの高さに置く
  • 家の中心に置く:端の部屋に置くと、電波の半分を外に捨てることになる
  • 金属と水を避ける:スチール棚の中、金属ラック、水槽、冷蔵庫の裏は電波を大きく減衰させる
  • 電子レンジから離す:2.4GHz帯に強い干渉を与える
  • ONUや他の機器と重ねない:発熱で性能が落ちる

置き場所を変えても2部屋以上先に届かない場合は、機器を足す段階です。メッシュWi-Fiと中継機の違いで、どちらを選ぶべきかを判断できます。

ルーター自体が古い可能性

Wi-Fiルーターは4〜5年が買い替えの目安です。理由は性能だけでなく、ファームウェアの更新提供が終わり脆弱性が放置されるためです。買い替えの基準はWi-Fiルーターの選び方にまとめています。

買い替えなくても、ファームウェアの更新だけで不安定さが直ることがあります。管理画面から確認してください。何年も更新していないケースは非常に多いです。

夜だけ遅いとき:接続方式を疑う

昼は快適なのに21時以降だけ遅くなる場合、自宅の機器ではなくプロバイダ側の混雑が原因です。

従来のPPPoE方式は「網終端装置」という装置を通るため、利用者が集中する時間帯にそこが渋滞します。IPoE方式はこの区間を通らないため、混雑の影響を受けにくくなります。

PPPoEIPoE(IPv4 over IPv6)
認証接続IDとパスワードが必要不要(機器を繋ぐだけ)
夜間の混雑受けやすい受けにくい
必要なもの対応プロバイダと対応ルーター

確認すべきは契約と機器の両方が対応しているかです。プロバイダが対応していてもルーターが古いと使えません。詳しくは光回線のIPv6(IPoE)とはを参照してください。

ホームルーター(SoftBank Airなど)の場合

光回線ではなくホームルーターを使っている場合、事情が変わります。筆者はSoftBank Airのエアターミナル5と6を両方自宅で使い、その後SoftBank光とコミュファ光にも乗り換えました。実際に測った範囲では次のとおりでした。

  • エアターミナル6が5Gを掴んでいるとき、下りは約1.2Gbps。昼夜を問わずこの水準で安定していた
  • 4Gに落ちると約50Mbps。この状態ではエアターミナル5と体感差はなかった
  • 速度は光回線並みでも、オンラインゲームは実用にならなかった
  • 窓際に移動させると速度が上がり、5Gを掴む確率も上がった

速度が出ているのにゲームが厳しいのは、応答速度とゆらぎが光回線に及ばないためです。詳しい経緯はSoftBank Air エアターミナル5と6を両方使ってわかったことにまとめています。

効果の大きい順、6つの対処

1. ルーターとONUを再起動する(0円・3分)

もっとも地味ですが、もっとも当たります。ルーターとONUの電源を抜き、1分待ってからONU→ルーターの順に入れ直します。1分待つのは、内部の状態を確実にリセットするためです。

2. 5GHz帯に接続し直す(0円・1分)

スマホやPCが2.4GHzのSSIDにつながったままになっていることがあります。末尾が -A や -5G のSSIDを選び直してください。同じ部屋なら数倍変わることがあります。

3. ルーターの置き場所を変える(0円・効果大)

前述のとおり、床から1〜2mの高さ、家の中心、金属と水から離す。この3つだけで届く範囲が変わります。

4. 有線でつないで切り分ける(数百円・確実)

LANケーブル1本で「Wi-Fiが悪いのか、回線が悪いのか」が確定します。有線で速いならWi-Fiの問題、有線でも遅いなら回線かルーターの問題です。切り分けの価値だけでもケーブル代の元は取れます

なお、古いLANケーブル(カテゴリ5)は100Mbpsまでしか出ません。カテゴリ5eか6を使ってください。ケーブルの側面に「CAT5e」「CAT6」と印字されています。

5. 接続方式(IPoE)を確認する

夜だけ遅いなら前述のとおりです。

6. チャンネルを手動で固定する

周囲と重なっている場合のみ有効です。netsh wlan show networks mode=bssid で空いているチャンネルを確認してから、ルーターの管理画面で固定します。混んでいないのに固定すると、逆に自動最適化の邪魔になります。

やってはいけないこと

よく見る対処実際は
中継機を何台も連ねる1段ごとに速度が落ちる。2段以上はメッシュに置き換えるべき
「高速化」をうたうアプリの導入Wi-Fiの電波状況は端末のアプリでは変えられない
SSIDを隠す(ステルス)セキュリティ効果はほぼなく、接続が不安定になることがある
MACアドレスフィルタリング頼み簡単に回避される。パスワードの強度のほうが重要
とりあえず10Gbpsプランに変更用途が100Mbpsで足りているなら体感は変わらない
ルーターを窓際やテレビ裏に隠す電波を外へ捨てる、または金属で遮る

よくある質問

速度は出ているのに、Webページの表示が遅いのはなぜ?

応答速度(RTT)が大きいためです。ページ1枚を表示するのに何十回もサーバーとやり取りするので、1回あたりの往復時間が長いと、速度が出ていても待たされます。DNSの応答が遅い場合も同じ症状になります。

Wi-Fiの規格上の速度が出ないのは故障ですか?

故障ではありません。Wi-Fiは同時に送受信できない方式のため、実測は規格値の50〜60%程度になるのが普通です。「Wi-Fi 6で最大4.8Gbps」の機器で実測が1Gbps前後でも正常の範囲です。

マンションで夜だけ遅いのは、住民の使いすぎですか?

建物内の配線方式にもよりますが、多くはプロバイダ側の混雑です。まずIPoEに対応しているかを確認してください。建物内でVDSL方式(電話線を使う方式)の場合は上限が100Mbpsに固定されるため、それ以上は物理的に出ません。

スマホだけ遅く、PCは速いのはなぜ?

スマホが2.4GHzにつながっている、省電力設定で通信が抑えられている、ケースが金属製で電波を遮っている、といった原因が考えられます。まず接続中の帯域を確認してください。

再起動しても数日で遅くなります

ルーターの熱か、経年劣化を疑います。触って熱い場合は風通しのよい場所に移してください。4〜5年以上使っているなら買い替えの時期です。

症状がはっきりしている場合は、PCトラブル症状別ガイドから該当する記事へ直接進めます。起動・ネットワーク・周辺機器・起動不能の4分類で整理しています。

まとめ

  1. 速度ではなく応答速度とゆらぎを測る。快適さを決めるのはこちら
  2. 他の端末・有線・時間帯・特定サイトの4問で原因が絞れる
  3. チャネルが1〜13なら2.4GHz。5GHzに変えるだけで数倍になることがある
  4. 置き場所は床から1〜2m、家の中心、金属と水から離す
  5. 夜だけ遅いならIPoE対応を確認。自宅の機器では直らない
  6. 中継機の多段とステルスSSIDは避ける

この記事に出てくる用語

メッシュWi-Fi/ファームウェア/MACアドレス/PPPoE/レイテンシ/ほか計117語をIT用語辞典で解説しています

あわせて読みたい

この記事で使える無料ツール